グリムス【3150】 財務分析 バリュエーション算出 5年後の営業利益と理論株価は? 割安の理由とは?

バリュエーション(企業価値算出)

2026年2月4日、グリムスの2026年3月期、第三四半期の決算発表がありました。

それを受け、今一度グリムスの現在の株価水準が妥当なのかどうかを、理論株価を用い
検証しました。
結論から言うと、現在の株価水準は割安で購入を検討するに値するレベルにあると思われます。

理論株価

まずは、最新年度(2025年期)の財務データをもとに、現在のグリムスの本質的な企業価値である「理論株価」を算出します。

計算のベースとなる数値は少し古いですが、前回決算の2025年3月期の決算短信から採用しており、以下の通りとなっております。

  • 営業利益:6,500 百万円
  • 流動資産:21,518 百万円
  • 流動負債:7,048 百万円
  • 投資その他の資産:2,891 百万円
  • 固定負債:2,676 百万円
  • 発行済株式数:23,814,800 株

【ステップ1】事業価値(稼ぐ力)

事業価値 = 営業利益(6,500) × 10 = 65,000 百万円

【ステップ2】財産価値(持っている財産)

財産価値 = 流動資産(21,518) − { 流動負債(7,048)× 1.2 } + 投資その他の資産(2,891) = 15,951 百万円

【ステップ3】株主価値

株主価値 = 事業価値(65,000) + 財産価値(15,951) − 固定負債(2,676) = 78,275 百万円

【ステップ4】理論株価

理論株価 = 株主価値(78,275百万円) ÷ 発行済株式数(23,814,800株) = 約 3,287 円

■ 現在の株価との比較(割安度判定)

現在(2026年2月20日時点)のグリムスの実際の株価は約2,652円です。

本来の企業価値である理論株価「3,287円」を大きく下回っているため、現在の株価は「割安(アンダーバリュー)」であると判定できます。

5年後理論株価(売上成長率ベース)

次に、5年後の営業利益を予想し、5年後の理論株価を算出します。

(※事業価値の拡大に焦点を当てるため、財産価値と固定負債は現在の数値を据え置いて計算しています)

過去の営業利益成長率は非常に高い数値(5年平均で約28%)を出していますが、利益の成長は長期的には「売上の成長」に収束していくのが自然です。より保守的で現実的なシミュレーションを行うため、今回は「売上高の成長率」を基準にして以下の3つのシナリオで算出します。

予想シナリオ採用成長率5年後予想営業利益5年後理論株価
① 10年平均17.34%14,458 百万円6,628 円
② 5年平均12.00%11,455 百万円5,368 円
③ 弱気予想6.00%8,698 百万円4,210 円

(※①は参考値として、実際の売上高10年平均成長率17.34%を採用。③弱気予想は②の成長率の2分の1である6.00%を採用した最も保守的なシナリオです)

希望買値

本ブログが推奨する「利回り15%投資法」における絶対ルールは、「5年後理論株価の半値(50%)以下で買うこと」です。これにより、十分な安全域(Safety Margin)を確保します。

より現実的な売上成長率ベースで導き出した、各シナリオの「希望買値(ターゲット価格)」は以下の通りです。

予想シナリオ5年後理論株価希望買値(50%)
① 10年平均6,628 円3,314 円以下
② 5年平均5,368 円2,684 円以下
③ 弱気予想4,210 円2,105 円以下

まとめ

以上の分析結果から、今後の投資行動指針をまとめます。

売上高ベースでの現実的な成長予測で算出した結果、標準シナリオである「② 5年平均(成長率12%)」での希望買値は「2,684円」となりました。

現在(2026年2月20日時点)のグリムスの市場価格は「約2,652円」です。 つまり、現在の株価は「年率12%という現実的な成長シナリオにおいて、利回り15%を達成するための希望買値をすでにクリアしている(下回っている)」状態と言えます。

また、最も保守的な「③ 弱気予想(成長率6%)」の希望買値2,105円までは下がっていませんが、現在の株価2,652円で投資した場合でも、弱気シナリオの5年後理論株価(4,210円)に対して約1.58倍のアップサイドがあり、年率に換算しても約9.6%のリターンが期待できる計算になります。

【結論】

楽観シナリオを捨て、現実的な売上成長ペース(年率12%)で計算しても、現在のグリムス(3150)は「利回り15%の基準を満たすバリュー領域」にあります。市場の過剰な懸念(リスク要因)が現在の株価に織り込まれていることを加味しても、下値不安は限定的であり、長期投資の観点から「非常に有望な投資対象」と判断できます。バリュー株投資・長期投資の観点から見て、非常に魅力的な買い場」と判断して良いでしょう。

 市場の懸念点 なぜグリムスはここまで「割安」に放置されているのか?

高い成長率と素晴らしい財務実績を残しているにもかかわらず、なぜグリムスの株価は理論株価より割安な水準に放置されているのでしょうか?

業績データや市場の構造的な背景を読み解くと、主に「3つの市場の懸念(不確実性)」が株価の重しになっていると推測されます。投資する上で知っておくべきリスク要因として確認しておきましょう。

① 電力小売事業への根強い「ハイリスク」なイメージ

グリムスのストック収益の柱である「小売電気事業」に対して、市場は依然として強い警戒感を抱いています。

  • 過去のトラウマ  過去のエネルギー価格高騰時に、多くの新電力会社が経営難や倒産に追い込まれた歴史があり、セグメント自体が「ハイリスク」と見なされがちです。
  • リスクヘッジへの疑心暗鬼  グリムス自身は「独自燃調」や「デリバティブ取引」によってリスクを適切にコントロールしていると説明しています。しかし、極端な市場ショックが起きた際にもその仕組みが本当に機能し続けるのか、市場が確信を持ちきれていません。
  • 利益率のブレ  SaaSなどの一般的なストックビジネスと違い、電力事業は調達コスト次第で利益率が大きく変動します。そのため、株式市場において高い評価(マルチプル)がつきにくい構造にあります。

② 「太陽光特需」の終了懸念とフロー収益の限界

現在非常に好調な「エネルギーコストソリューション事業(ECS)」の成長が、一時的な特需に過ぎないのではないかと疑われています。

  • 外部環境への依存  足元の需要拡大は、資源価格高騰による「企業の電力コスト削減ニーズ」という追い風に乗っている側面が強いです。エネルギー価格が落ち着けば、需要が急減してしまうのではないかという懸念があります。
  • リピート性の低さ  太陽光パネルや蓄電池、電子ブレーカーの販売は「売り切り型(フロー収益)」です。一度導入した顧客から継続的にお金を取るのが難しいため、常に新規顧客を開拓し続けなければならず、将来的に顧客獲得コスト(CAC)が跳ね上がるリスクが警戒されています。

③ ビジネスモデルの転換期による「様子見」姿勢

グリムスは、2026年3月期から組織改編や新規事業への参入を予定しています。

  • 機関投資家の資金抜け  企業が大きな転換期を迎える際、既存の安定したビジネスモデルがどう変化するのかが一時的に読みにくくなります。そのため、「新しい体制でしっかり利益を出せるか確認してから買おう」と、機関投資家などが一時的に様子見の姿勢を取っている可能性が高いです。

【投資家としての解釈:これはピンチか、チャンスか?】

一言で言えば、現在の市場は「過去の素晴らしい実績」よりも、「将来の不確実性(今の高成長が本当に続くのか?)」を過大評価して怯えている状態です。

しかし、私たちバリュー投資家からすれば、この「市場の過剰な懸念」こそが、これほどまでに安く買える絶好のチャンス(安全域)を生み出しているとも言えます。

リスク要因をしっかり把握した上で、それでも「厳しめのシナリオ(弱気予想)すら下回る現在の株価」で仕込めるのであれば、非常に分が良い(勝率の高い)投資判断になるのではないでしょうか。


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