ローツェ(6323)の2025年3月期決算短信および有価証券報告書に基づき、投資家向けの財務評価レポートを作成しました。
結論から述べると、総合評価は「4.2」
同社は、半導体製造技術において「縁の下の力持ち」的な企業と言え、その分野においてなくてはならない存在であるといえるでしょう。
1. 企業概要:技術で世界を回す「縁の下の力持ち」
ローツェは、主に半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造工程で使用される自動搬送装置を開発・製造・販売している企業です 。
- 誰に何を売っているか? 世界中の大手半導体メーカーや装置メーカーに対し、クリーンルーム内でのシリコンウェハ搬送ロボットや、真空環境下での搬送システムを提供しています 。
- 市場でのポジション大気中・真空中を問わず、極めて高い清浄度と精度が求められる搬送技術において、世界トップクラスのシェアを誇ります。特に「ウェハを汚さない、壊さない」という高度な自動化技術が同社の生命線です。
2. 定量分析:数字が語る「爆発力」と「筋肉質」な財務
直近10年間(2016年〜2025年)のデータから、同社の収益性と安全性を解剖します。
収益性と安全性の推移(直近5年)

| 年度 | EPS (円) | ROE (%) | 自己資本比率 (%) |
| 2021 | 37.44 | 23.0 | 51.8 |
| 2022 | 74.21 | 33.7 | 51.4 |
| 2023 | 123.74 | 37.7 | 53.9 |
| 2024 | 111.11 | 24.4 | 59.1 |
| 2025 | 134.08 | 22.5 | 62.8 |
評価: EPS(1株当たり純利益)は2021年の37.44円から2025年には134.08円へと約3.6倍に急成長しています 。ROEも常に20%を大きく超えており、驚異的な資本効率を維持しつつ、自己資本比率を62.8%まで高めるという、安全性と収益性の「二兎」を見事に得ています 。
成長性の分析

- 売上高と利益率: 売上高は2021年の508億円から2025年には1,244億円へと倍増 。特筆すべきは営業利益率の高さで、直近3年平均で26.5%と極めて高い水準にあります 。
- 成長率: 2024年に一時的な売上微減(-1.3%)があったものの、2025年には売上成長率33.4%、営業利益成長率32.7%と、再び強力な成長軌道に乗っています 。
キャッシュの創出能力

安定した売り上げ・利益動向に対し、営業キャッシュフロー(OCF)は、
度々マイナスの年度が発生しております。
原因として棚卸資産や売掛金の急激な増減が考えられますが、こういった営業キャッシュフローの流れにムラのある会社は、利益だけで判断せず受注・在庫・運転資本等をセットで追う必要があります。
3. 定性分析:強みとリスクのシナリオ
同社の強み
- 圧倒的な研究開発姿勢: 2025年の研究開発費は76.5億円と前年の約1.8倍に増強されています 。粗利益に対する研究開発費の比率も15%前後を維持しており、技術的優位性を維持するための投資に余念がありません 。
- 分厚い内部留保: 内部留保(利益剰余金)は2016年の90.8億円から、2025年には997.2億円へと10倍以上に積み上がっています 。これにより、景気後退局面でも研究開発を止めない「持久力」を備えています。
リスクシナリオ
- 半導体サイクルの影響: 2024年のように、顧客の在庫調整や投資抑制により売上が一時的に足踏みするリスクがあります。
- 棚卸資産のボラティリティ: 2024年に棚卸資産が532.8億円まで膨らんだように 、需要予測を見誤るとキャッシュフローを一時的に圧迫する懸念があります。
4. 総合評価
- 成長性:★★★★★
売り上げ・利益共に驚異的な成長率の高さを評価 - 収益性:★★★★☆
ROE 20%超と営業利益率25%超はトップクラスだが、CFには注意が必要 - 資産バランス:★★★★☆
自己資本比率60%超と豊富な現金 - 株主還元:★★★☆☆
配当性向は約20% 成長投資優先だが、さらなる還元余地あり - 強みの持続性:★★★★☆
積極的なR&D投資と特許による参入障壁による高収益構造
半導体投資循環・規制要因に左右される可能性も
総合評価点:4.0 / 5.0
5. まとめ:投資家へのメッセージ
ローツェは、単なる「装置メーカー」ではなく、半導体微細化・高集積化という世界的な潮流において「なくてはならない搬送のスペシャリスト」としての地位を確立しています。
2024年の踊り場を経て、2025年のV字回復は、同社の製品が次世代半導体製造においていかに重要であるかを証明しています。「高い技術力 × 筋肉質な財務 × 旺盛な成長意欲」の3拍子が揃った、中長期で注目すべきエクセレント・カンパニーと言えるでしょう。
.png)


コメント